私が主として演奏している音楽は、“現代音楽”と呼ばれているものです。音楽について深く考えることにより、様々な音楽のありかたを模索、探求し続けています。門仲天井ホールでは、ホール企画として2008年より年3回、“music documents”という演奏会シリーズを、作曲家の伊藤祐二さんとともに企画をし、演奏をしています。このシリーズは、タイトルのとおり、評価が定まったものばかりでなく、現在進行形の新しい音楽の取り組みを「ドキュメント」するものです。ある批評家が「小さな輸入CDショップが音楽シーンに影響を与えることがあるように、今やこのシリーズは小規模ながらも東京の音楽界に大きな貢献を果たしつつある・・・」と書いてくださいましたが、音楽家とホール双方の継続の意志と共感とが、それを可能にしているのだと、4年間で12回にわたるコンサートを行なって、実感しています。
門仲天井ホールのように、小回りがきき、ある意味で何でも試すことができ、継続することができる場所や機会は、真にクリエイティヴな音楽家や、特に若い音楽家たちにとって、必要不可欠な存在であると私は思います。実のところ、現代の、そして未来の芸術文化の行く末は、そういった若い世代の音楽家が、彼らの持つ力を十分に発揮できるかどうか、にかかっていると思うからです。
門仲天井ホールは、それらのことを可能にする、底力を秘めた、稀有なホールに違いありません。
プログラム:Enjoy! John Cage (エンジョイ! ジョン・ケージ)
ジョン・ケージ作曲
・季節はずれのヴァレンタイン(1944作曲)
・トイピアノのための音楽(1948年作曲)
・夢(1948年作曲)
アメリカの作曲家、ジョン・ケージ(1912-1992)の作品集です。
いろいろな音色をお楽しみください!
プロフィール
現代音楽演奏のスペシャリスト。東京学芸大学大学院作曲科修了。1986-1991年「ムジカ・プラクティカ・アンサンブル」のメンバーとして活動後、1991年よりソロ活動。東京で毎年、定期的にリサイタルを開催、
世界初演、日本初演を含む100曲以上を演奏。他に「ジョン・ケージをめぐって」(横浜)、「モートン・フェルドマンをめぐって」「鍵盤上のフルクサス」(東京)、「21.1世紀の音楽会(リュック・フェラーリのために)」(京都)、「カウエルとシェルシ、その風変わりな世界」「線の音楽・形の音楽―近藤譲と塩見允枝子」(神戸)等、
テーマ性をもったリサイタルを行なう。海外でも、アメリカ合衆国、ヨーロッパ各地、中近東各地でソロリサイタルや大学でのレクチャーコンサートを行なうほか、「ブールジュ実験音楽祭」(フランス)「ダルムシュタット夏期音楽セミナー」(ドイツ)等の国際芸術祭から招聘、「ISCM in Romania」(ルーマニア) 「第9回メルシン国際音楽祭」(トルコ)「Festival " l'Art pour l'Aar "」「musica aperta」(スイス)ではソロリサイタルを行なっている。ソロアルバムとして、スイスHatHut社より、「JAPAN PIANO 1996」「Jo Kondo Works for Piano」「Luc Ferrari Piano & Percussion Works」(イギリスの音楽誌“The Wire”において、2011年度ベスト10に選出)、ドイツ エディション・フンデルトマルクより「Satoko Plays Mieko Shiomi」がリリースされている。「井上郷子ピアノ・リサイタル#19 モートン・フェルドマン作品集」により、第10回佐治敬三賞(サントリー芸術財団)を受賞。現在、国立音楽大学准教授。